野外菌類観察会報告
開催日時 10月14日(日)
宿泊地 小川げんきプラザ駐車場
観察地域 埼玉県立小川げんきプラザ周辺
参加者 会員 22名 一日会員 4名
世話人 福島隆一、村田紀彦、大舘くみ、近藤芳明
鑑定人 福島隆一、大舘一夫、近藤芳明、大久保彦、村田紀彦
撮影 富田稔
報告 福島隆一
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今年の小川げんきプラザ観察は、会員18名と一日会員4名の参加者でした。 私は、いつものように観察会の許可証をもらいに本館に向かいました。体育館の駐車場に車を止め、歩きながらキノコ探しをしていると駐車場の看板に白いサルノコシカケが目に入りました。 シロカイメンタケであろうと採集して、培養してみましたが、少し黄色味がかった伸びの早い菌糸が見られたので間違いないと思いました。 この駐車場には数本のモミの木がありますが、鱗片が濃い紫色のミドリスギタケが見られました。 昨年の日本菌学会銚子ホーレで見かけたタイプでした。 この時は、海浜公園のクロマツ防風林で見かけましたが、松枯れクロマツを伐採した時の鋸屑を捨てた堆積場に大群落を成しておりました。 大変驚いたのは、数百個体の大群落の中にクリーム白色のチャツムタケ属菌が見られ、どう見てもムラサキスギタケのアルビノであるとしか見えませんでした。 何千、何万個体が群生する大型きのこを見る事はめったにないと思いますが、突然変異個体が見られる可能性があります。 昭和60年の夏に自宅近くの桑の木に自生していたアラゲキクラゲの中に純白の個体が見られました。培養してきのこを形成させてみましたが、純白のアラゲキクラゲになりました。多種類のヒラタケを栽培していると幼菌の色は変化に富んでいます。 ヒラタケの色素は、メラニン色素ですので人の肌の色や瞳の色が多様な色に見られるのと同じです。その中でも青い色をしたヒラタケはとても美しいと思いましたが、成菌になると青さが薄れ灰白色になってしまうので、人工栽培の全成長過程を観察していないと目にする事が出来ない事であります。 この時期にアシボソシロシメジ(青木)又は、シロニオイシメジ(池田)が沢山見られました。 特有な臭いが有るので、この臭いを覚えておけば目をつむっていても種名が判ります。 非菌根生と記載されています。菌糸生長がとても遅く、菌根の可能性もあるのではないかと会報に書いたことが有りますが、今年もう一度培養をし直してみました。 菌叢の確認を丁寧に行ってみましたが腐生菌であろうという結論でした。 同じようにシラタマタケの培養も再度行いました。 極太の根状菌糸束が見られましたのでこれも腐生菌であるという結論でした。 栄養寒天培地で観察しているだけでは、本当の菌糸の姿を見る事ができない可能性もあるのでもう少し切り口を変えた培養を行う必要を感じています。 クリイロツムタケ(青木)と思われる個体が見られました。 松姫峠で採集された、キナメツムタケ?とチャナメツムタケが展示されていたので3種を培養して比較してみました。 クリイロツムタケの菌叢はキナメツムタケ?に似ておりました。 サビハチノスタケとニカワオシロイタケは個体が古く、菌糸が取れませんでした。 チャホウキタケは、伸びの早いカビが培地を覆ってしまい発菌の観察もできませんでした。 コゲチャワタカラカサタケ近縁種と思われる個体については、いまだに発菌が見られていません。 ウスイロコブミノカヤタケは、発菌がとても遅く2週間たってようやく菌糸が見えてきました。 久しぶりにチャカイガラタケの培養を行いましたが、培地を褐変させながら元気な菌糸を伸長させています。この時期ホンシメジでも有るのではないかと、帰りに児玉遺跡の森に立ち寄りました。 ヒマラヤスギの下に出ていたイボテングタケと乾燥によりひび割れてしまいどう見てもヤマドリタケモドキには見えないきのこが有りました。 泥を持ちあげたアイバシロハツなどの3種を培養してみましたが、3種とも相変わらずの菌叢でした。 イボテングタケとヤマドリタケモドキはそれなりですが、アイバシロハツはヒダの胞子が発菌していると思われる菌叢だけであり、多くのクロハツ節に見られるウンともスンともいわないタイプです。
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